今更ながら、国内大手で起きている品質詐称問題に触れたい。
その根幹に潜むのは、
カイゼンの勘違いと、
品質基準の明細化の混迷。
また、更に致命的なことは、
下請け・協力企業との不健全で歪んだ、
格差的パワーバランスにあると警鐘を鳴らし、
国内のあらゆるジャンルの生産場は働き手不足で、
補填される外人労働者へもシワ寄せになっていると言う。
歪んだままの雇用関係は、被雇用者を道具の様に扱う。
東南アジアからの人材派遣形態は、
かつて日本国内で展開した「掃いて捨てる」型の、
雇用の模倣そのものだ。
組織ピラミッドの上層企業が、下層企業・雇用者を、
束ねる図式そのものは否定はしない。
置いてかれがちで忌むべきなのは、
問題解決に至るプロセスにおいて、
末端である現場や直接顧客と触れる店先の声が、
正しくブレーンに届かない組織構造。
組織が成長して少しばかり階層化しただけで、
その伝達経路を断ってしまう企業は、
コンプライアンス以前に、経営者や中間責任者の保身と、
現場からの現実逃避の自覚麻痺の姿そのものでもある。
現場の事実をクリアに見定めて、
問題を冷静に受け止め、咀嚼した方針を、
働き手に正確に伝える。
このプロセスに私情を挟んだ組織・企業から、
順番に自らを滅ぼす結果に至っている現状は興味深い。
かつてのマーケットとは異次元的なほど急変化を見せる今、
これからのマーケットは、
変化への即応性、現場の問題解決が遅い幹部こそ存在価値は無い。
むしろ現場との接点やパイプの強化こそ、
厳しいマーケットを生き残る、唯一の価値をもたらすのだろう。
そしてこのルールが、一番重要なのは幹部だけでなく、
働く者すべてにとって避けられないルールである以上、
そこから逃げた者から、順に弾き出されるという危機感を、
忘れてはならない、ということ。
そう言った趣旨の空気を、
斜陽化する国内社会の今に見ると同時に、
その凝り固まった空気が、自身に取り付いていないか。
この問題の真実は今そこにあって、
自分の目の前に潜んでいるのである。