くろまのパーソナル・ワークショップ

生活・仕事への分析力向上を目指し、あえて辛辣に物言います。

真っ当な人さえ手を染める、麻薬の正当化

俳優・電気グルーヴのメンバー、ピエール・瀧氏の突然のコカイン吸引を肯定したことへの波紋が、過去の同罪へのそれに比べて大きいことが、今回の事件の深さを物語る。

 

ファンや関係者からの意外性は、下記記事にもあるように真っ当な人が手を染める麻薬性の驚異を、改めて考えさせる点で注目度も高いのでないか、そして「真っ当なひとがハマる麻薬の正当性の是非」とは何かをこの事件に学ばなくてはならない。

 

www.fnn.jp

なぜコカイン使用の疑いで逮捕された? 父親・友人が語るピエール瀧容疑者の“素顔” - FNN.jpプライムオンライン

 

 本事件被告の関係者や近しい間柄の人の聞き取りでは、被告は極めて真面目で堅実でポジティブな人柄であり、故にその事件の意外性が強力なことが特徴のようで、この事実は自称真っ当人間の多くに波紋を投げかけている。

筆者もその自称〜を自負する一人であるし、今でも悪魔の声に振り向かない自信はあるが、その心の強さを持った者でさえ悪魔は躊躇なく、鉄壁なはずの心に侵入し不可避と思われたセキュリティをも、ものともせず精神の本丸へ踏み込めている。

 

そもそも麻薬に侵されないという自信は、堅実な生活を徹底したり、危に見向きも近づきもしないという準備の有無に関係なく、むしろ心の隙や油断を突破口にして自ら受け入れてしまう事実に気づくのが重要で麻薬に限定せずとも、普段から誘惑に弱く主体性や目標の無い行動をする人に、犠牲者は多いのかもしれない。

 

その対処方法は人によって課題は千差万別だが、共通するのは自分を俯瞰できる客観的なめを養うこと、誰でも持つ不安と常に正面から付き合えるようにすることは、最低限普段から意識しておくことではないかと思う。

 

心の隙が起こす「もう一人の自分の過ち」を事の大きさに関係なく、いつも寄り添って正面から向き合えるチカラ。

 

このスキルは一長一短では身につかないことは、皆だれもが経験上心得ている。

ただ日頃の忙殺される生活で、見失ってしまう中で不幸にも「悪魔のささやき」に耳を傾けてしまう人の弱さは、たとえ賢者でも根絶できるものではなく凡人であれば言うまでもないが、どうしても受け入れざるを得なくなる事も、もしかしたらあるかもしれないことを、自覚しながらも時には認め、赦しながらそれぞれの人生の許容範囲と自己責任の中でバランスをとっていくしか無いのかもしれない。

 

特に自由な発想をしがちだったり、それを求められる職種に就く人、逆に自他関係なく極端に規制をかけるほど潔癖性や、それを強いられる立場の人らは特に、ままならなくなった時こそ、自分の心の在り様に注意しなければならない。

 

 最後に、これらができる大人はまだ良いが、心が未発達で経験不足の子供や若者達にこのスキルは、すぐには役に立たないだろう。

それには大人が作り出す「空気」「道徳心」の成熟度によって守られなければならないが、裏を返せば大人の言動に問題がなければ、彼らはそれを器用に模倣してくれるから、複雑に考えず子供の犯罪は大人のそれの鏡と知って、普段からの悪魔の囁きと上手に付き合う習慣を、私たち大人は忘れないようにしたい。

 

ピエール・瀧氏も連行される車の中で、その自戒を何万何千回と繰り返しているように、私は見えた。