軍事ビジネスの異変が示す、世界市場の行方
生活必需品などの一般商品が売買される市場とは別に、非日常的な商品が流通される業界というものが存在することは、関連性の薄い我々にはピンと来にくい。
しかし、間違いなく存在しているだけでなく、それより利幅が高い傾向があり、実際の経済への影響力は一般市場と比較にならないほど高かったりするので厄介である。
一例として軍需産業があるが、これは同じ直接消費者とは関連が薄い先物などの金融市場と比較しても更に縁遠く、一部の数少ない軍事マニア・ジャーナリストの分析に依存せざるをえない、超閉鎖的市場だったりする。
そこを敢えて深堀りすると、意外な世界市場の大変化の片鱗が見えてくるのではないか、これを見てみよう。
軍需産業の主力商品が花形の軍用航空機だが、その最新技術搭載機の事故率が高くなるっていて、理由を述べている記事の事実を見て考えられるのは、アメリカが戦後のドル圏経済成長を支えた、旧来からの軍事ビジネスモデルの異常と限界が来ているのではないか、ということ。
F22、「クラスA」事故6件 19年度米空軍機 時間あたり最多 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
国内では、沖縄の米軍基地移転問題で、槍玉に上がっていた某垂直離着陸機の事故率の高さでは話題になっていたが、これら最新機の事故率の高さはどうしてなのかを、上の記事は語っているようだ。
日本はアメリカの軍産複合体企業にとって、上得意客だった訳だが普通上客に対して不良品を売りつけるなどとはあり得ない話であるが、この兵器市場においてはそれがまかり通る世界だということを理解しておかなければならない。
なぜそうなるかを、一般のビジネス感覚で捉えても無粋なことであって、そもそも一般の市場の物理学は通用しない、いわばブラックホールの仕組みを読み解くのと同様に、慣習的常識を捨てることから始めないと、理解できない市場だと言うことだ。
この仕掛ける側に極めて優位性の高いこうした特殊市場は、極めて仕掛ける側の戦略が100%通る超優良ブルーオーシャンであり、もう理想的な桃源郷である。
そもそも、アメリカは70年以上前に仕掛けた太平洋戦争によって、来るアジア市場の成長を見据えたアジア市場戦略を仕掛けたことで、巨大な利権構造を完成させたわけで、ミクロな問題に翻弄する当時の日本政府の内部分裂騒動を巧みに利用して、世界に先がけてアジア市場に一番乗りしたと言うことだ。
こうした視点に立てば、今その美味しい市場の奪取と同時に、それに加えてアフリカなどの振興市場や、欧州などの飽和市場を巻き込んで市場覇権を狙う中共の世界市場戦略が、いかに合理的でアメリカにとって脅威なのかが、手にとるように他人事でないことが理解しやすいだろう。
その経済戦争のど真ん中で起きている、最新軍用機の歩留まりの悪さは、まだ見えにくい戦略上の混乱と課題が隠れているとも見えるし、情報戦の大きな転換と深い関連性を意味しているかもしれない。
その世界近未来を左右するサバイバルゲームの中で、今回の新型ウイルス脅威の拡散が意味するものに、振り回され無いように鳥の目で大局的な視点無くしては、いつでも判断を踏み誤るリスクを減らすことはできない。