くろまのパーソナル・ワークショップ

生活・仕事への分析力向上を目指し、あえて辛辣に物言います。

米中経済戦争が、決着しない最大の課題は消費者にある説

俯瞰してみれば、米中戦争は従来の武器による戦争と根本的な相違があるが、その相違点が最も簡単に勝ち負けを決められない大問題と矛盾を生んでいる。

 

この戦争は、有形の国土でなく無形の経済圏という陣取りと、それぞれのベースにあるルールや約束事の標準化を争うもので、一見して見えない・形にならない知的財産の奪い合いだということだ。

 

物理戦争に至っていないので、未だ本格的な戦争に至っていないと安堵する向きも少なく無さそうだが、過去の戦争でも前哨戦はあって、その時点では戦争の空気を実感する者はいなかった。

 

つまり物理戦争が始まった時点だともう遅く、国民に選択肢は既に無いし、既に決定されたベクトルに付き従うしかなくなっているのである。

 

逆にまだ煮詰まる前なら、国民が行動修正すれば回避できる可能性はあるが、現状ウイルスを凌ぐのに必死で、そこまで思いが至らない。

 

戦争を未経験の多くの国民にとって、戦争が始まって決定的な被害が出終わるまでのプロセスは誰にも判断できそうもないし、経験者に頼るすべもない。

 

しかし、自覚しなければならないのは表題の通りで、戦争の表向きの形態は時代によって変わっても、消費者側の行動が変わらないと戦争の加害者になりかねないのだ。

 

こう言い切ると、ほとんどが「馬鹿を言え!いつも戦争は国民が被害者だ、加害者になるとは暴言だ」と思うに違いない、確かに戦争の実行犯は必ず政府だからそう見えて当然である。

 

とくに今回の戦争は過去のそれより、上にも書いたような戦利品の目的がより強調されてはいるものの、そのゆくえを選択する消費者(国民)消費動向の多数決によって、決まっている点は、全ての戦争に共通している動機である。

 

今回の市場優位性は、経済シェアを握る資本・企業がアメリカ一択から、アメリカ側のGAFA VS 中国側のBATHの二択に切り替わる、未知の要素が加わっているために、今までの戦争同期と違うように見えるだけ。

 

 

アメリカ側は、行動の自由を奪う中国式の市場への危険性を煽り、中国側はこれまでの縛りの多い米式の市場に難易度を求める。

 

消費側にとっては、本来ならその二択のハイブリッドが望ましくとも、2強はその選択を認めないのが本戦争の特徴だ。

 

アメリカの民主党によってGAFAが市場独占性を根拠に攻撃しているのは、おそらく市況の公平性でなく、中国側の市場性を有利にする方便だろう。

 

それはさておき、消費者がいいとこどりができないと分かれば、コスパの高いBATHの中国市場を選択するのが常とう手段になるが、消費者が分かっていなくてはならないのは、市場の平等性を保つのには、企業側の権利が保障されないと実現しないという現実である。

 

政治の都合上、急伸したGAFAが利益独占を目論んでいると決めつけるのは俯瞰で見れば正確ではない。

 

中国のBATHは絶対権力の共産党と徒党出来る優位性で権利舗装されたかのようになっているが、GAFAは企業動力を政府保証するでもなく、リスクを被ったうえでここまでのし上がってきたのだ。

 

中国は共産党の計画によって米のパクリ企業を成長させ共産党以外のリスクを考えなくてもいいのに、アメリカは全て企業が全リスクを負ったうえで結果を残さなければならなかった。

 

消費者側は、単に結果でしかない市場規模だけで、市場の健全性や正当性を安易には買ってはならないのではないか?

 

老舗は1日にしてならず、お得意になった消費者の我慢強い店への支持が、結果として小さな店舗を老舗に育てたからこそであり、コスパだけで目先を変えていては老舗も市場も育たない。

 

消費者が振り回されがちなのは、極めて政治的な意図で流される情報に感化され過ぎることが問題・課題であって、消費者の嗜好性に実行者は従うしかないのである。

 

そのための印象操作こそ赦すべきではなくとも、消費者側のわがままが10割通ると言うのもムシが良すぎはしないだろうか。

 

消費者側も政治都合の市場戦略のつき入るスキを与えないためにも、賢くあらねばならないし、市場を育てるために敢えてそこそこリスクは被る寛大さを行動に出せれば、結局市場は消費者に優位になるのではないか。

 

それらを踏まえた上で、二択しか許されないならばGAFAを選ぶかBATHを選ぶか、育てる覚悟をもって選ばなくては、武器無き戦争はどこまでも終わることはないだろう。

 

その判断に、自由をはく奪を目的に仕立てられたBATHは、あまりにも公平性を欠いた国家戦略の道具であり、本来まっとうな市場とは言い難いことは考慮に入れるべきだ。