くろまのパーソナル・ワークショップ

生活・仕事への分析力向上を目指し、あえて辛辣に物言います。

中国のZEV法からNEV法への布石と戦略

NISSANのEVカー「リーフ」「ノート」が定着し、HONDAからも新プラットフォームを開発製品化、国内で関心が高まる一方で、ついにTOYOTAが5年前倒しでEVシリーズ構築に動き、ようやく日本メーカーの本格EV市場参入の目処がつきだし期待されるところまで来た。

 

ところが、すでに世界市場では2大大国が市場制覇に動いていて、日本に芽吹いたEVカーの期待はまだまだ儚い。

NISSANにしても欧州ではルノーブランドでの販売だし、HONDAも欧州市場で開始にとどまっているし、日本以外ではエコブームの欧州にしか手を出せないのが何より痛々しい現状、そうした危機感にTOYOTAが動いたのは心強い。

 

すでに世界市場では、ご存知の通りEUのエコブームをきっかけに、スイスの電気自動車観光から始まった自動車のCO2規制化は、アメリカのカルフィルニア州「ZEV法」より飛び火し、いよいよ中国がアメリカに持ちかけた新規制「NEV法」によって、市場のパワーバランスが固まりつつある。

 

TOYOTAが5年前倒しで動き出したのは、その背景に危機感を抱いたことは動機としてあるが、NISSANがグループ企業内の効率化を優先させるにとどまったのに対し、TOYOTAは、日本の自動車メーカー全体の牽引を担う(経産省との次世代戦略2014がきっかけ)だけに、今後のインフラ事業への加速も期待したいところではある。

 

一方で、TOYOTAが危機感を覚えたNEV法の動きは、今中国が進める世界戦略の5Gインフラ制覇と両輪になる目玉の一つであり、この軌跡から欧州市場へはすでに食い込んでいて、アメリカに対しても西海岸と反対の東海岸からの市場食い込みを狙っているように見える。

 

未だ国内の味方はメディアの反応からは、中国の動きを過小評価している空気が読み取れ(または対処方法が全く見えていない)、少々乱暴な表現だが国内メーカーの乱立は、そもそも日本が誇る技術力の分散にしにかならず、世界市場の加速度を考えると、なにかの形で統合・技術提携化は避けられないと考える。

 

同じアジアで頭角した韓国が国内規模からみてもHYUDAIに絞られているように、今後日本でも合理的な提携が急がれるが、この点国内2位のNISSANは、外資本が絡むため主導になり得にくく、余計にTOYOTAの音頭が重要となが、課題は各メーカーの強みとそれに合わせた市場の棲み分けと企業方針の調整ができるかどうか。

 

日本の経産省との戦略はほぼ頓挫している状態で、超巨大企業とも言え一企業が日本業界をどのように牽引できるか、このことからも同社の動きはギリギリのタイミングであり、かつての自動車大国日本がこの業界でどの部分に食い込めるか注目される。