米IT企業に需要が見込める周波数ビジネス
総務省が、今年度末あたりまでに開放を検討したとされる60khz周波数帯は、米IT大手Googoleの新型スマホ「Pixel4」で提供される新機能を日本国内で法的に使えるようにするためらしい。
これまでは日本の電波法によって利用が禁止されていた低周波帯のひとつとされる。
その周波数帯が、複数の米IT企業によってビジネス価値が見直されたのか、その真意は定かではないが、この点は急拡大する中国IT勢の動向や、医療ビジネスなどの成長産業などの可能性を考えると、興味深い話題。
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さて、政府リサーチで他の米企業の需要も判明し急遽動いたこの話それ自体は、何ら問題はないかもしれないが、政府側としては国内で需要の無かった周波数で収益が取れるとなれば、渡りに船なサプライズだっただろう。
筆者が気になるのは、政府の電波の使い方である。
どの国でもそうだが、電波の周波数帯は政府によって厳格に管理されているが、その使用や割当の裁量は国次第で、もちろん国際法などで決められたルール遵守の範疇だとしても、日本は戦後早々に決められたルールを厳格に優先させている。
電波の使用は国が利用するものを除き、空いた周波数帯の売買は国の最良で認可され、民間団体や企業に払い下げられる、つまり利用権を売っている。
問題にしたいのは、TVで利用されている電波の払い下げを、大手の企業に限定し利権化している点で、アメリカのように効率よく周波数を売って、経済効果を上げるのとは異なる点。
電波の管理は他の商品とは違って無造作に売買したり、利用者がコロコロ変わるのは、もちろん問題を抱えるが、日本政府の独特の管理方法によって、日本の最大の情報網だったTVメディアが、特定企業団体だけのコントロールを現実的にしてしまったことは、重要視しなければならないのではないか。
アメリカにしろ、別の方法で電波メディアを寡占化に追い込んだ経緯があるのは、事実だが、日本政府のそれによって長い間一部の企業を寡占化させ、それによって多くの政府関連団体を生み余りある税金利用の公平性を欠く、要因のひとつになったのは間違いないのだから。
ネットメディアは、その点で今のところ公平性を保ってはいるが、インフラ事業の行方やAIや商業系のルールによっては、同様の縛りの影響を受ける余地がある点に、注目しておきたい。