くろまのパーソナル・ワークショップ

生活・仕事への分析力向上を目指し、あえて辛辣に物言います。

自動車市場の未来を、真面目に語る

カルロスゴーンの逮捕依頼、業績低迷もあって日産自動車の業績はイッキに悪化して久しい中で、企業改善を地道に進め、悪いイメージ払拭を進めているが、その大きな転換とも言える新車をいよいよデビューさせる。

 

アリアと命名されたこのクルマが目指すものは、単なる新車発表とどまらない自社の新たな決意と、この先あるべき自動車の将来までも提案するもの、という位置づけになっているようだ。

 

世の中が、コロナウイルスによって大きく社会の在り方そのもの転換をするという、誰もが予測しなかった時代の節目が、多くの価値観を変えようとしている中で、移動手段としての自動車・自家用車の価値観にも大きく影響する時代。

 

電気自動車メーカー大手テスラモータースがトヨタ自動車を抜いたことや、SONYがプロトタイプとは言え、異業種の自動車を提案するなど、コロナ発動後だけでも業界は大きく変わり、自動車関心の無い人でも注目するニュースが目だった。

 

その道中で社運をかけて発表された日産アリアは、見た目ほぼコンセプトカーままに発売されることからも、斬新な試みが注目され、電気自動車としても大きな転換点として期待の期待されるクルマ。

 

筆者が注目するのは、まず自動車としてのデザイン、一見コンセプトカーままの荒削りっぽいデザインを最初から想定しながらも、実は生産性を織り込んで設計されるという高度な表現力で注目度を高める。

 

この手法は、いすゞのビークロスなど、これまでも何度か試されていたがコンセプトカーからディテールなど変わっていたり、その分再設計に時間やコストがかかっていたが、それを短縮できる可能性がある。

 

今どき、デザインが起こされ製品化されるまでの工程短縮は、どの業界にも常識となっており、自動車も例外にならないが、それだけ企画段階で完成度を高めるデザイナーの力量が試される。

 

あと注目すべきは、今後ほぼ置き換わるであろう電気自動車としての資質だが、特に航続距離の短さはネックになっており、いよいよ実質200キロの壁を超える時代を実現できそうだ。

 

ガソリン車に比べて電気自動車は、給電設備インフラの課題に目処が立っておらず、自動車メーカーに設備依存する前提でしか、現実味が無かったが、このアリアを堺に更にスタンドに普及を明示しており、国主導のインフラ整備の呼び水としても期待できる。

 

まだまだガソリン車に比べて車両価格が高いが、ようやく国内でもハイブリッド車と闘える車種の登場は、低公害車が推奨され易い社会性も後押しする時代。

 

基本条件全て揃っている中国、大資本の専業メーカーを持つアメリカに対し、国の覚悟も含めて日本の臨戦態勢が出来上がりつつある期待が高まる。

 

アリアがその突破口を開いて、社会構造がVRやARなど半仮想化される中で、リアルな移動体である自動車が、どう関わり第2の居住空間としても様々な工夫や可能性を提案するように、走るくつろぎ空間の模索が始まっている。