奴隷化した、完全「仮想化ネットワーク市場」の解放か?
日本の通信市場を牛耳ってきた大手3社にとって、衝撃的なデビューを果たそうとする第4の刺客である楽天が仕掛ける通信事業ビジネスを読み解くその片鱗が、ついに姿を表した。
誰もが目から鱗の意表を突かれたに違いない、汎用サーバによる業界独自の難問へのブレイクスルー三木谷氏の回答であり、既得権益市場への挑戦状は氏が応えるように、ユーザーを奴隷化した通信インフラ業界への市場開放に繋がるのか、はたまた新たな既得権益化の前触れか。
三木谷氏「MVNOは奴隷みたいなもの」 楽天がMNOで“完全仮想化ネットワーク”にこだわる理由 - ITmedia Mobile
完全とおもわれた大手3社の、国内ネットワーク市場の優位性いは、専用サーバー管理と独自のノウハウが不可欠なことと、送電設備・機器インフラがほぼ特定企業が占有している事情から、通信業界への新規参入はほぼ絶望視されていた中で、敢えて踏み込んだ楽天が示した答えは斬新だった。
昨年から新年にかけて話題沸騰注目される「ネット決済」サービスの競争に、大きな影響を与える楽天の動きは、同社の提供する「Rペイ」の優位性を高める狙いもあって、その相乗効果の大きさを物語る。
この新規参入に対し、既存大手3社は対抗しているもののそのインパクトは小さく、この対比は今後大きく市場を変えていくかもしれないが、楽天がとった奇策は国内市場を狙っていただけなら思いつかなかった策だろうし、三木谷氏の事業ビジョンは3社のスケールを完全に超えている。
この伸び代の大きい発想は、これから世界市場を見据えた起業家にとって、大きな励みになるだろうし、今更ながら事業者に求められる「ビジョン」が、どれほどの重要性を持つかが、改めて証明されたということだろう。
なぜ、筆者が国内5Gインフラのシェアにこだわるのか?
世界のIT社会を先導するアメリカが、このジャンルにおいて主導権を欠いている事実があって、そのお株を中国に奪われる可能性があるからだ。
多くの方が、この脅威に関心が低く、単なるセキュリティや個人情報保護の安全性
にしか関心を示さないのは、とても厄介なことであり、筆者もいちユーザーの立場になればコスパの良い方を選んでしまうだろう。
5Gの次世代インフラにおいて、その勢力図がアメリカより中国に傾くことは、かつてない現象であり、中国にアメリカのような世界をコントロールする能力があるとは思えない以上、その実が熟すまで歩み寄ってはならないと考えているからだ。
中国政府の昨今の必死さは、H社の製品広告の増大、加えて専用のお披露目会を催すほどで、招待メディアの評価はグレーな立場に見えなくはないが、この先中国版5Gのシェアが3割を超えるようなら、国内サイバー犯罪対策の現実が以下の記事のような低レベルでしかない現状の日本は、内的中国化するのは目に見えている。
「ネットにリンクを書き込み」だけで少女を補導。その問題の本質とは?(本田雅一) - Engadget 日本版
他にも上げればきりがないが、国内ユーザーの意識はちょっとしたメディア情報操作で中国有利に傾きかねない。
その危機への警鐘の動きを、日本が忖度するアメリカにの今に見るのだ。
アメリカがこの先根本的に変わるか否かは、もうすぐわかるだろうが、もし変わったとしても日本が素直に右ならえするとは思えないという、伏兵を抱えていると言う社会問題も残されている。
H社そのものが悪いのではない、それははっきりしているがそのH社自体がすでに中国から足を洗えない立つ場である限り、中国=H社シェアの実質的な結果を考えると、一見極論に走っているように見えるアメリカの方針は、単なるわがままと一刀両断できない深みがあるということだ。
そうした背景の中で、国内新規参入する楽天のチャレンジは、日本にも勝算が見えてくる分期待も大きくなる。