くろまのパーソナル・ワークショップ

生活・仕事への分析力向上を目指し、あえて辛辣に物言います。

目線のズレが、クルマの魅力をダメにする

この課題は、今に始まったことでなく、記事の著者のようにモータリゼーション全盛の時代を経験してきた世代のドライバーなら、少なからず実感してきたとても残念な現実なんだと思う。

 

bestcarweb.jp

超熟成!! クロスオーバーSUVの最老舗「アウトバック」に新型X-BREAK追加 | 自動車情報誌「ベストカー」

 

高度成長で技術面で欧米に追いつくのが至上命題だった時代で、車を作り売ってきた人々が自動車メーカーで経営を担っている今、他の国内企業もれなく盲信した技術至上主義の亡霊にとりつかれた結果、生み出されている工業製品は既に一方的な思い込みによる押し売り商品に成り下がっている。

一昔前の白物家電がその洗礼を受けたように、車も例外なくニーズを反映しない時点で本来の魅力が伝わるはずがない事に、未だ気づかない業界は残念を通り越し恥ずかしいとさえ思う。

 

クルマに限らず商品の魅力はメーカーが作るものではなく、客から汲み取った結果できるものであって、過度な押し売り的なテクニックで売ったものは、再販の未来はないのだから、企画・製造・販売のプロセスを魅力づくりに叶うよう改善しない限り、日本のクルマの未来は無いのじゃないか。

因みにこの魅力とは、客の好みを形にすれば売れると言う短絡的な発想で解決するものでなく、プライスレスの適度な選択肢提供と、身体験なライフスタイルの提案が魅力を感じさせるという事で、メーカー都合のコストありきの提案は客に響かなかった事を意味する。

 

この現実に逆ギレするような企業は、既に終わっているし生き残れないだけでなく、こうした企業に限って企業改革と称して、仕組み改革を省いて社員に対処療法させ逃げ切ろうとするのは、想像に難くない。

 

やはりこうしたときに思い返されるのは、自動車業界で言えばカリスマと言われる本田宗一郎氏だが、今でもレジェンドと自動車ファンでも経営者からでも崇められるのは、こうした課題を最初から受け止め、ブレる事なく実行してきた人だったからに他ならない。

 

レジェンドと称賛される程の経営者は、企業を経営する能力に秀でているだけなく、魅力を創り出す才能とそれを形にする事に、一直線に集中した努力家に対して、後世が認めた証、一クルマファンとしてはこの現実を通り一辺倒に解釈せずに、これに続く努力を惜しまないでほしい。

努力する軸がブレ無いように、ものづくり経営者は配慮してほしいと思う、その結果魅力あるクルマとして、日本のクルマが世界で評価されるチャンスを掴み取っていただきたい。

それが、日本のモータリゼーションの華やかさを肌で知る者の、せつなる願いでもあるから。