日産が及ぼした自動車業界の影響力
日産・ルノーが起こした世界をまたぐ大騒ぎは、一旦国内メディアでは落ち着いた時期に、その他国内メーカーの動きは慌ただしい。
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ホンダは社内人事に合わせ総決算ともいえる市場整理を始め、スズキ・スバルは大規模なリコールを起こし……そのなかでトヨタだけが新車発表で業界の火消しに回っている。そのトヨタでさえ販売網の新業態としてリリースしたサービスが不発と、なかなか世界的な再編の波が荒れ狂う自動車業界の動きは、時代そのものを色濃く反映しているともいえる。
話は戻すが、日産が仕組んだとも呼べる国内企業枠を超えた組織そのものの課題と問題は、世界のそれにどう影響を与えたかというと、ほぼ無いに等しいことがようやく見えてきた。
この国内の混乱に対し国内業界親分のトヨタは足を引っ張られるリスクを負い、海外他社はそれに乗じてシェア拡大に走っていて、VW社のトップシェアをより確かなものにし、韓国・中国メーカーの信頼性向上に良い影響さえ与えた。
この動きの中で日産は、当初のルノーからの経営独立を完全実施できないばかりか、むしろフランス拠点とのなんらかの協業を残しつつ、EU市場の影響力を担保せざるをえなくなる誤算が出ている。
本来ならゴーン氏と同罪にもなる西川氏を敢えて残してでも、日産のフランス化阻止の国策とも言えた動きは、ここに来て長期的な展開を余儀なくされている。
加えて、今後国内ユーザーへのトップ信任・信頼性や、売上減もあれば従業員の不安再燃もありえるだけ、そもそもゴーン氏拘留で問題を引き伸ばしたリスクが、今後じわじわ来そうな空気だ。