「アメリカはUFO現象から手を引いたか?」論ずる前に理解すべきこと
陰謀論は都市伝説と同様、ある意味現代に残された数少ないロマンであり、それを語る自由を分け隔てなく与えられる、自由社会に感謝する。
その中で、アメリカに関する陰謀論を語る上で、多くの論者が決定的な誤解がないか、理解しておくことは無いか。
それは、彼らが語るその陰謀は、陰謀という生物の血液によって養われているのであって、その範疇においては説得力を持たないものであり、多くの陰謀論は説得力が薄れていると言うこと。
一つの比喩をしよう。
「決して面に出ることがないと言われるこの手の情報は、SF映画やサスペンスドラマなどのフィクションでしか主張できなくなって久しく、それさえもメディア企業のマネーによってしか存在し得ない。」
その比喩の意味する事実を踏まえた上で、「軍事研究の謎」というお誂え向けの陰謀的テーマは、言うに及ばずその域を超えられるはずもなく、所詮が木を見て森を見ずの枠にはまった局所的な解釈でしかない。
それはなぜか?
アメリカ合衆国は、複数の州が集まってできた国という見方をすると同時に、複数の企業(資産家)の共同出資で機能する「新天地」という顔をもつ以上、ロシア・中国など政府が主導する国家とは根本的に違う。
誤解しないで欲しいのは、この意味が単なる「資本主義」「社会主義」という概念で区別されていない点で、USAはある意味どちらの機能も内包していて、金やマネーを血液にして循環する仕組みを世界標準化させた組織と見るのが妥当だからだ。
UFOの軍事研究、中露がアメリカを抜く? | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
現代に生きる人全ては、UFO現象の一般解釈(特に日本国内での)にしてもそうだが、一般的な認識はごく一部しか見られていないのではないか、そしてそうと気づくまでにどれだけ時間を必要とするだろうか。
そもそも国内メディアの報道する情報の偏質や量不足は、あまりにも私たちを失望させ、それだけで全てを知った気にさせる社会に生きているのだから、責めるのも無理がある。
ただその範疇で判断しても、上の紹介記事の表題は正確ではないし、アメリカ政府による軍事研究は縮小されたとしても、アメリカのどこかで膨大なUFO現象から得られたノウハウは、利益を生むテクノロジーから優先的に、開発研究は個々に続けられているはずなので、そもそも比較できていないと見た方が妥当だ。
その経緯は、第二次世界大戦前後から準備され、戦後プロジェクト・ペーパークリップからの人材確保や、その後連続するプロジェクト調査によって、成果の出たものから順にノウハウや研究を民営化させていった数々の事例は、すでに陰謀論者・マニアによって語られているではないか。
中国やロシアは国家そのものが研究・軍事転用してるのに対し、アメリカは国家から民用化しているに過ぎず、その仕組み自体があまりにも大規模なために、森の中の木しか見ない私たちの多くの実感が薄いだけのことだ。
その巨大な組織そのものを暴露すること自体が、ほぼ意味を持たない。
たとえそれをすることは、現存する常識全てを否定するに等しいことを意味する以上、陰謀論者はこれからも森に循環する血液の「おこぼれ」を吸いながら鳴き続ける虫という現実と闘いながら、ぜひその使命を全うして欲しいものだ。